
2025.06.05
事例紹介/ヤマハ発動機:マリン事業本部 設計業務の効率化
フューチャー株式会社は、2024年4月よりヤマハ発動機株式会社 マリン事業本部の設計業務の効率化を支援しています。
※本記事は2025年5月に行った取材をもとに構成しています。
取組み概要
現場発の伴走型プロセスで会議を効率化することで、意思決定を加速する
フューチャーでは、ITの実装をともなうコンサルティングだけでなく、戦略コンサルティングによるお客様の支援も行っています。今回支援したヤマハ発動機様は、オートバイなどを製造する世界的な輸送用機器メーカーです。船外機やボート、ウォータービークルなどを製造するマリン事業本部において、設計開発のQCD向上の取組みの一環として会議のスリム化を支援しました。
業務遂行のスピードを高めるためには、会議を「決める場」にすることが重要です。今回、ヤマハ発動機様の会議スリム化の取組みにおいて重視したのは「現場の納得感のあるプロセスで解決策を作っていくこと」でした。ヤマハ発動機様には、担当者の意見を大切にする風土があります。フューチャーは、標準化された手法を一方向的に提示するのではなく、現場の課題を当事者目線で捉え、お客様が作り上げてきた企業文化の長所を活かし最も腹落ちしやすい進め方であるべき姿の策定と定着を伴走支援していくというやり方を提案しました。
私たちはまず、10名程の規模の「エンジン設計2G」を対象に、会議の全体像を把握するためのデータ分析に着手し、現状について定量的に可視化し担当者や関係者と目線合わせをしました。その後は実際に会議に参加しながら、どうすれば会議を効率化できるのかを様々なレイヤーの方と議論し、問題意識を引き出しながら「現場発」でアジェンダ作成ルールや開催基準を作り上げていきました。こうしたプロセスを経て策定したルール・ノウハウを他グループにも広げ、部門全体の意思決定の加速を支援しています。
業務改革は一般的な理論の展開だけではなかなか浸透していきません。私たちはお客様のカルチャーを解像度高く理解し、社員の方々が自分ごと化して実践しやすいプロセスをデザインすることで、企業の変革を支援します。
お客様のコメント
カルチャーに踏み込んだテーマだからこそ、外部パートナーとのマッチングが重要
ヤマハ発動機株式会社 マリン事業本部 開発統括部 技術管理部 開発基盤G グループリーダー 益田 善之様
2024年の初め、中期戦略として掲げている「商品競争力の向上」により力を注げるよう、部内の無駄な仕事を減らす業務効率化の推進を私が担当することになりました。開発統括部のメンバーにアンケートを取ったところ520件ほど回答があり、「会議が多い」という意見が多くあがりました。
打合せが多いというカルチャーにどうメスを入れるか。社内リソースが私ひとりという状況でしたので、外の知見を借りたいという思いは当初からありました。これまでも外部と取り組んできた経験がありますが、今回の「会議のスリム化」というテーマはWEBで調べてもどういった会社と組めばいいのかピンとこない状況でした。そんな中、マッチング会社にフューチャーを紹介してもらいました。
フューチャーのコンサルタントと1時間ほど話したのですが、この非常に柔らかいテーマを私たちの目線でよく理解していただいて、ユニークな解決ストーリーをすぐに描いてくれて驚きました。1言えば10理解してくれるような感覚で、定型的なプロセスではなく、ヤマハ発動機ならではの進め方をズバッと目線を合わせて素早くアレンジしてくれましたので、とてもスムーズでした。
社内のメンバーが当事者意識をもって取り組むことで持続可能な成果に
ヤマハ発動機株式会社 マリン事業本部 開発統括部 PJT設計部 エンジン設計2G グループリーダー 中山 幸一様
私のグループは、最初のテストケースとして取り組みをスタートしました。「会議のスリム化」にはこれまでも取り組んだことがありましたが、一時的に成果が出てもなかなか定着しないことが課題でした。どんなに良いフレームワークがあっても、社内に活用しようという意識が生まれなければ成果は出ないものです。一方的にコンサルに改善施策を示してもらうのではなく、社内の当事者意識も重要だと感じていました。
フューチャーは最初に私たちが会議に使っている時間を可視化してくれました。これによってお互いの負荷を認識し、助け合おう、本気で会議を減らそうという意識がメンバーに芽生えたところからスタートできたのがよかったです。
コンサルタントの小澤さんはしっかり現場に入り込んで本音を吸い上げてくれて、会議において何が大切なのか、何を目指すのかを明確にして、みんなが同じゴールを目指せるようにリードしてくれました。本音を聞き出すだけでなく、「こうしたらよかったね」とメンバーの目線で話しながらルール作りをしてくれました。現場の意見から生まれてきたルールだからこそ、社内のメンバーも納得感を持って実践できるものになりました。
製品の品質・競争力を高める開発活動に注力できる体制を強化する
マリン事業本部 開発統括部 PJT設計部 部長 磯崎 宏一様
印象的だったのは、フューチャーは実際に私たちの中に入って「今起きている問題は何だと思いますか?」「原因にどう対処すればいいと思いますか?」とコーチングのようなスタイルで問いかけながら答えを引き出してくれたことです。コンサル会社というと、自社の調査に基づいてソリューションを提示するイメージを持っていましたが、私たちから出てきた言葉から仕組みを作り上げたため、腹落ち感のある取組みになりました。
開発統括部では、コロナ禍を経てオンラインミーティングが当たり前になっていましたが、その手軽さゆえに打合せの参加人数も膨らんでいました。会社にずらりと席を並べて、各人オンライン上で会議に参加しつつ裏で別の作業を行っているケースもあり、本当に会議に参加する必要があるのか疑問を持ちましたし、商品競争力強化に注力するためには見直しが必要と感じました。
会議のあり方を改め、開催頻度や参加メンバーを精査し、余力を作る。このプロセスを今はいくつかのグループで試行し、ある程度定着できています。今後はより広い範囲で、特にプロジェクト運営や意志決定に関わる会議の効率化に展開させていきます。こうした取組みをつうじて、より競争力の高い商品を開発するための活動に社員が注力できる体制を強化していきたいと思います。
左から、ヤマハ発動機株式会社:益田 善之様、中山 幸一様、磯崎 宏一様
フューチャー株式会社:小澤 琢磨、Strategy Innovation Group 事業責任者 青木 晶子
ヤマハ発動機株式会社 概要
代表者:代表取締役社長 設楽 元文
本社所在地:〒438-8501 静岡県磐田市新貝2500
設立:1955年(昭和30年)7月1日
従業員数:10,929人(2024年12月末現在)
資本金:861億円(2024年12月末現在)
業種:輸送用機器(オートバイ、船外機、半導体製造装置、産業用ロボットなど)の製造・販売
ヤマハ発動機株式会社 公式サイト
Strategy Innovation Groupについて
フューチャー株式会社 Strategy Innovation Groupでは、お客様ごとに最適なアプローチ・体制を組み、「未来創造」「売上改善」「環境対応」「組織強化」「コスト効率化」「実行支援」の経営アジェンダを伴走型で支援することで、お客様の「変革」にコミットしています。