
2025.02.04
開催レポート 「イノベーションワークショップ 2024 第1回 企業価値を高めるためのDX戦略」
フューチャー株式会社が運営する社会貢献団体「フューチャー イノベーション フォーラム」(FIF)は2024年11月28日(木)、会員企業向けに「イノベーションワークショップ 2024 第1回 企業価値を高めるためのDX戦略」を開催しました。
イノベーションワークショップ 開催概要
FIFでは、業種や業界を越えて交流を深め自己研鑽する場として、2007年からイノベーションワークショップを実施しています。2024年度の第1回は「企業価値を高めるためのDX戦略」と題し、伊藤忠グループ全体のデジタル化推進とサイバーセキュリティ対策をリードする浦上善一郎様に登壇いただき、経営に貢献するデータ活用施策をテーマに議論を深めました。
講演「伊藤忠商事の企業価値向上を支えるデータ活用推進について」
伊藤忠商事株式会社 准執行役員 IT・デジタル戦略部長 浦上 善一郎様
伊藤忠商事での取組みを例に、データ活用に着手したきっかけやコンセプト、内製化や人材育成の進め方、DXにおける投資対効果の考え方についてお話しいただきました。また、生成AIの活用や商品企画提案への活用といった具体的な事例も紹介いただきました。
「伊藤忠商事では基幹システムの再構築をきっかけに全社データ統合基盤を構築しました。これまでの経験から、データ基盤(器)をつくるだけでは魂が入らない、浸透しないという実感があり、IT・デジタル戦略部の中にデータ分析の内製化組織を組成することもセットで実施しました。システムは現場でデータ収集・分析する人向けのものと考え、あえて経営向けのダッシュボードは用意しませんでした」
「データ活用の変遷としては、いきなり高度な分析に着手するのではなく、導入当初は決算管理をはじめとする社内管理や事業管理の『削る』『防ぐ』領域から着手しました。どの程度の余力を創出したかを毎年経営陣に報告しています。ここから『稼ぐ』領域に広げていくという手順をとっています」
「データ分析組織を内製化して6年になりますが、組織を立ち上げた時の意識づけはだんだんと風化するところもあります。伊藤忠商事では『経験』も重要視しています。データ分析は『経験とデータをかけ合わせて全社員がマーケティング力を磨き、マーケットイン発想を加速させるためのツール』として改めて社内のリブランディングを図っています」
当社役員によるミニトーク「データ利活用による効果」
フューチャーアーキテクト株式会社 代表取締役社長 谷口 友彦
FIFの運営会社であるフューチャーグループの谷口より、データの利活用が経営数値にもたらすインパクトをお話ししました。
「浦上様から『DXを目的化しない(ビジネス課題を起点とする)』ことの重要性をお話ししていただきました。データ分析の観点では基盤を作ったという話題はよく耳にしますが、経営数値にどのように現れているかのお話を聞く機会は少ないのではないでしょうか。現場に入り込み、データ分析組織を内製化され、着実に結果を出し『稼ぐ』領域までチャレンジされている。新規事業をつくっていくことが得意な商社ならではの貴重な事例を紹介していただきました」
グループディスカッション「経営に貢献するデータ活用施策」
7つのテーブルに分かれ、自社の取組みと現状の課題、取り入れられそうな点、参考になったポイントを話し合いました。データ分析や内製化のあり方においては、個人情報の取り扱いを含めたガバナンス面の整理や人材育成も重要だという意見が上がりました。
※登壇者の所属・役職は開催当時のものです。