道は自ら切り拓く フューチャーグループの2WAY戦略
自己変革
フューチャーグループの2WAY戦略
2016年に持株会社体制に移行したフューチャーグループ。コア事業である「ITコンサルティング&サービス事業」に加えて、培ってきたノウハウをアントレプレナーシップをもって実践する「ビジネスイノベーション事業」を展開し、マーケティング、スポーツ、教育、Eコマースなどの各事業会社がITを活用した独自のサービスを提供しています。2つの事業を主軸にシナジー効果を創出する「2WAY戦略」は、フューチャーグループにとってどのような意義を持つのでしょうか。ビジネスイノベーション事業の最前線に立つ4社の社長に座談会形式で聞きました。
座談会スピーカー紹介
モデレーター:杉江周平(FUTURE AGENDA企画編集チーム)
コンサルタントとしての経験を実業で試したい
――スピーカーのみなさんは、元々はフューチャーでITコンサルタントとして経験を積み、その後、グループの事業会社の社長に就任されています。経営者として事業に携わりたいと思うようになったきっかけを教えてください。
ITを活用することで業界全体に変革を起こしたい
菅野: 私は2000年に新卒でフューチャーに入社し、流通・小売業のシステム開発を中心に多数のプロジェクトに携わってきました。ITコンサルタントとして知識と経験を積んでいくなかで、「自分たちのアイデアを実業で試してみたい。そういう環境に身を置きたい」と強く思うようになり、グループの事業会社の一つである東京カレンダーにボードメンバーとして参画しました。当時の東京カレンダーは、都心での雑誌販売を中心に強いブランド力を誇っていましたが、出版事業へのIT導入はそれほど進んでおらず、ITの利活用で業界に変革に起こしたいと考えました。
――河野さん、堀内さん、村澤さんはいかがでしょう?
河野: 私の場合は、リーダーを務めていた通販会社のプロジェクトがきっかけです。基幹システムの刷新が無事に終わったあと、ビジネスの成長に向けた施策を検討するという次のフェーズに移りました。たとえばリピーターの単価をアップさせるにはどうすればいいかをお客様と一緒に考え、そのアイデアをすぐアプリに実装し、市場で試すということをしていました。入社以来、ずっと基幹システム刷新を担当していたので、新しい施策をクイックに実行し、ユーザの反応がすぐにわかるのがとても新鮮で、仕事に楽しさを感じていました。そんなとき「eSPORTSの社長をやってみないか」と声をかけられました。B to Cビジネスにはすごく興味があったし、通販プロジェクトでの経験を活かせるのではないかと思い、引き受けました。
堀内: 私は新卒でフューチャーに入社し、7~8年ほどITコンサルタントとして大手物流業のお客様をメインに担当していました。でも、ある時期から「自分で事業を手がけてみたい」と思いはじめ、社内ベンチャーという位置づけで企業向けのIT教育事業を立ち上げました。ちょうどその頃、コードキャンプがフューチャーグループに加わったので、事業ドメインが重なっていたことから私も参画し、2019年に社長に就任しました。
――村澤さんも元々はフューチャーでスポーツ事業を担当し、途中からライブリッツに事業を移管して経営されていますが、どういった違いがありますか?
村澤: コンサルティングの案件は、まずお客様から依頼されることが大前提にありますが、事業会社は先行投資型でプロジェクトを推進できます。これが大きな違いですね。また自分たちが面白いと感じたテクノロジーを使ってユニークなサービスを開発し、それをお客様に提案できることも事業会社の利点だと思います。
――ありがとうございます。ビジネスイノベーションというチャレンジできる場がグループ内にあったからこそ、今こうして活躍されているのですね。
ITを活用することで業界全体に変革を起こしたい
テクノロジーで新しい市場を開拓
――フューチャーグループとして「2WAY戦略」を展開する意義について、どのようにお考えですか?
菅野:
私が就職活動していた頃は、フューチャーはまだ上場する前でしたが、入社当時から「フューチャーの仲間とともに世界一のITカンパニーを目指すんだ」という思いがありました。それは今も変わらず持ち続けています。では「IT業界で、何の世界一なのか」というと、テクノロジーを使ってあらゆるものを具現化できる、応用技術を極めたカンパニーでありたいと思っています。
一方で、マクロな環境の変化を考えると、システム構築やテクノロジーを操ること自体の付加価値は下がっていると感じています。以前はプログラミングができることに価値がありましたが、今やスマートフォンさえあれば、誰でも簡単にアプリや動画をつくれる時代です。ビジネススキーム全体を創造できなければ、お客様に付加価値を提供することはできません。最新テクノロジーを駆使してビジネススキームの構築までを一気通貫で行うこと、その先駆けとなることが、ビジネスイノベーショングループの使命だと捉えています。
自ら手を挙げチャレンジし、新しい市場を開拓することが、ビジネスイノベーション事業を担う私たちの役目
村澤:
ビジネス環境の変化はまさにそのとおりで、いまや技術を使ってどうやって新しいビジネスを創り出していくのか、というところにレイヤーが上がってきていますよね。コンサルティング業界もお客様の戦略を具現化するシステムを構築するだけでなく、そのシステムをどう使いこなして効果を出していくかに市場のニーズが変わってきていると思います。
一方で、新しい市場を創る上で、コンサルティングの場合はお客様に意思決定をしていただかないと物事が進まないというビジネス上の制約があります。そういうときに自ら手を挙げてチャレンジし、新しいマーケットを開拓していくことが、ビジネスイノベーション事業を担う私たちの役目だと考えています。
自ら手を挙げチャレンジし、新しい市場を開拓することが、ビジネスイノベーション事業を担う私たちの役目
グループ連携によるシナジー効果
――ビジネスイノベーション事業は、新しい市場を自ら切り拓く役割も担っているとのことですが、独立したベンチャー企業ではなく、グループの中で事業を経営することの意義やメリットを聞かせてください。
村澤: フューチャーアーキテクトのお客様でスポーツに関心がある企業を紹介いただき、そこから新しい案件につながったことが多々あるので、やはりビジネスにおけるシナジー効果は大きいですよね。また、そういったシナジーの前提として、技術的な知見やノウハウをグループ内で共有できるメリットも大きいです。
堀内: コードキャンプでは、フューチャーの先端技術の専任チームと共同でプログラミング教育カリキュラムを開発したのですが、これもまさにグループ内で技術的なノウハウを共有できるからこそ実現できたと言えます。フューチャーの大規模システムの開発現場から生まれた考え方や思考が元になっているので、たとえば高品質なシステム開発をするにはどのようなコーディングスキルが必要かといった、より実践的なカリキュラムを開発できました。他社製品との差別化を図れるのは大きいです。
テクノロジーファーストのカルチャーが、グループ全体に浸透している
菅野: テクノロジーファースト、つまりテクノロジーを大切にしながら経営していくというカルチャーが、グループ全体に浸透しているんですよね。大規模なプラットフォーム構築の最前線にいるコンサルタントたちの仕事に対する姿勢やプロ意識の高さ、プロジェクト内のテクノロジー用語が飛び交う会話などから、メンバーは否応なしに影響を受けるので。社員一人ひとりが技術への理解が深く、苦手意識が全くないところも、大きな特長だと思います。
――事業投資や経営の意思決定において、よりリスクを取りやすいといったメリットはありますか?
村澤: 資金面というより、人的リソースでのメリットが大きいですね。何か新しいことにチャレンジしたいとき、必要な人材を惜しみなく提供してもらえるので、プロジェクトを停滞させることなく進められます。
河野: 私も同感です。グループ会社で連携して取り組もうとするときのサポート体制は、すごく手厚いです。フューチャーからの出向者が多いことの影響もあると思うのですが、元々はITコンサルタントであり、「誰かの役に立ちたい」というマインドを持った方ばかりなので、ちょっとした相談にも親身になって応じてくれます。グループ全体のマインドやサポートには何度も助けられていますね。
菅野: フューチャーグループの主要な事業はITコンサルティング&サービスですが、一般的にお客様はコンサルティング会社に対して懐疑的で、「正論ばかり述べているけど、結局自分たちで実践できるの?」と疑問に持たれていることが少なくありません。それに対し、「私たちはシステム構築だけでなく、実際に自分たちのノウハウを事業で実践し、ビジネスを成長させています」と説得力を持って回答できます。これはグループへの貢献の一つだと思います。
村澤: 実際に成果を見せるという意味では、私たちは技術のショーケースになっていると言えますね。ライブリッツの場合、スポーツ分野は新しい技術を試しやすく、結果もわかりやすい。うまくいけば注目もされやすいので、「技術のフューチャーグループ」をアピールするには効果的だと思います。
テクノロジーファーストのカルチャーが、グループ全体に浸透している
非連続な成長の原動力に
フューチャーグループが非連続に成長するための機会を広げる
堀内: 2WAY戦略には、フューチャーグループが非連続に成長するためのチャンスを広げる意義があると思っています。世の中のDX推進の流れを受けて、コア事業であるITコンサルティングは今後も成長を続けると思いますが、それとはまた違う非連続的な成長機会を、教育分野において創っていきたいです。
菅野: たとえばスマホゲームが大ヒットすると、40%、45%という高い利益率を生み出せます。そう考えると、ビジネスイノベーション事業は、一定のコストに対して売上がどんどん伸びていくビジネスモデルを作り得る、という点で夢がありますよね。
河野: そうですね。あとはビジネスイノベーション事業に、様々な業種・業界の会社が増えるといいなと思います。YOCABITOでは物流会社と組んで何か新しいサービスができないかと常に考えていますが、グループ内の事業会社が増えれば組み合わせの幅も広がって、より面白い取組みができるし、より付加価値の高いサービスやシナジー効果を生み出せるのではないでしょうか。社内ベンチャーをフットワーク軽く立ち上げる仕組みがあっても面白いですね。
――個々の事業会社がグループの非連続な成長の原動力となることを目指すとともに、グループ全体として新しい取組みが次々と生まれるような多様性のある企業ポートフォリオになると、より事業の多角化が図れそうですね。「社会の変革をリードするとともに自らも変わり続ける」というフューチャーグループらしい思いにあふれた対談となりました。本日はありがとうございました。
フューチャーグループが非連続に成長するための機会を広げる
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